週休3日制度ってどう思いますか?~働き方改革に関する実態調査から~

 全事業ではありませんが、働き方としての週休二日制度も、認識として定着して久しいですね。
今や週休三日制度という言葉も出始めています。その三日の制度についてのお話です。

 そもそも法定休日を増やすという話ではありませんし、良し悪しについてはそれぞれだと思いますので、議論する気はありませんが、私自身、制度の意図というのは、育児や介護など非常に複雑になっている社会的な状況と個々人の事情を踏まえた「ワーク」と「ライフ」のバランスをとって人生を過ごすことという認識ですが、必ずしもそうではない状況があるように感じています。

 東京都が都内企業とその従業員に対して実施した「令和2年度 働き方改革に関する実態調査」の結果が公表されています。この調査は昨年9~11月、都内の常用従業員規模30人以上の事業所と、その事業所の正社員に対して実施し、事業所調査962件と従業員調査1024件の回答を集計したものです。

 その結果を見てみると、正社員の半数が週休3日制の導入を希望している状況が伺える一方、週休3日制の導入に前向きな企業は1割に満たないという労使が合致していない状況が見えてきます。詳細には、以下から結果をご覧ください

令和2年度 働き方改革に関する実態調査(東京都産業労働局)

 新型コロナの状況とは言え、人手不足感が払しょくされたわけではなく、一部の事業ではすでに人材確保が始まっている中、この労使双方の言い分のズレは導入においての障害になってくるものと思われます。

 労働力調査やリクルートワークスなど様々な調査結果を見ると、週休3日制の最大のネックが「賃金の扱い」であることは明らかです。

 どのような組織であれ優秀な人材の確保は必須です。労働する時間量、労働生産性や成果などどのような基準を置くにしても、賃金の原資や分配のことを踏まえると何らかの差が生じてくることはやむをえません。そこをないがしろにしてしまうと、会社に在籍しているだけでもらえる賃金、それこそベーシックインカムです。それを企業側だけに依存するような都合のいい結果は難しいのではないでしょうか。

 学びなおし、育児介護、余暇の充実など政府の検討会では様々な理由付けは出されています。実際にこのような状況を否定するわけではなく、真剣にそれが必要な人はぜひ活用していただきたい、導入していただきたいと思います。

 企業側としては、賃金を単純にコストとだけ考えることはいいとは思いませんが、経営上、人材確保のために賃金を払っても経営指数は上がらないでは、事業活動の縮小なども考慮して導入に二の足を踏むことも当然だと思います。
 だからと言って導入に否定するのではなく、優秀な人材の囲い込み、育成した人材を就業継続させ、更に活躍させるためなどを目的として柔軟な導入方法を模索することは必要です。

 一方、労働者側としては、長時間労働や実際に会社にいた時間のみで賃金が支払われているという実態、考えている余裕がないなどが理由としてあることはわかります。そこは企業として改善していくことが急務です。
 しかしながら、状況が改善されたときに今の週休二日、有給休暇、祝日を有意義に使えますか?3日制になったから有意義に時間を使い(え)ますか?、と自問してみることは必要なのではないでしょうか。そこの自問がない状態で3日に増えても、おそらく今と変わらない休みが1日増えるだけではないでしょうか。

 働き方改革が叫ばれ、様々な取り組みや施策、法制度の整備が行われています。流されることなく、企業や個人が「自分事」として考え出来ない理由ではなく、「どうしたらできるのか」を議論してくことが重要ではないでしょうか。

 このような状況の中、それぞれが「自分の食い扶持は自分で稼ぐ」という意識で、「働く」ということを考えていく時期なのかもしれません。 

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