「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」が公表されました。

先日、令和2年度の「過労死等の労災補償状況」が公表されたことをお伝えしました。後を追うようにして6月30日には労働紛争解決制度の施行状況が公表されてました。こちらも例年通りのスケジュールです。

労災では精神障害の要因トップはパワハラという結果になっていました。労働紛争においてはどうなのかが非常に気になるところです。早速内容を見てみましょう。

ご存じのとおり、「個別労働紛争解決制度」は、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、早期に解決を図るための制度で、方法は以下の3つです。

①「総合労働相談」
②都道府県労働局長による「助言・指導」
③紛争調整委員会による「あっせん」

2020年度の総合労働相談件数は129万782件で、13年連続で100万件を超え、引き続き高止まりの傾向です。

 民事上の個別労働紛争や主な相談内容は、「いじめ・嫌がらせ」、「自己都合退職」、「解雇」、「労働条件の引き下げ」、「退職勧奨」、その他配転や採用など非常に多岐にわたります。
2012年度以降は「いじめ・嫌がらせ」の件数が他を大きく引き離しており、2020年度も79,190件(全体の22.8%)を占めています。

その他、公表資料には都道府県別の状況や事例なども記載されているため、内容を確認して、自社の取り組みの参考とされるとよいでしょう。

 2020年6月に施行されたパワーハラスメント防止措置、まず大企業が事業主の義務となっていますが、2022年4月1日からは中小企業も義務化となります。

 労災の状況で精神障害の要因としてトップになっていることと今回の状況を踏まえて、企業の労務管理において、ハラスメントへの対応がますます重要になってきているといえるでしょう。

 いじめや嫌がらせ、ハラスメントへの対応は、形式的な取り組みや知識教育では足りず、防止はできません。社内の風土・考え方や従業員の意識を高めることを両輪で行っていくことが重要です。早めの取り組みをすることで、人材確保、ひいては業績に繋がります。取り組みは早めに進めていきましょう。

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